
ボートレースを題材にした漫画作品の中でも、圧倒的な知名度と人気を誇るのが「モンキーターン」です。
競艇選手たちの熱い勝負だけでなく、努力・友情・恋愛・挫折など青春漫画としての魅力も詰め込まれており、多くの読者を惹きつけてきました。
本作をきっかけにボートレースへ興味を持った人も多く、現在でも“競艇漫画の最高傑作”として名前が挙がることの多い作品です。
この記事では、「モンキーターン」の作者やストーリー、主要キャラクター、タイアップ企画などを詳しく紹介します。
作者について
「モンキーターン」の作者は、漫画家・河合克敏(かわい かつとし)氏です。
河合克敏氏は愛知県出身の漫画家で、週刊少年サンデーを中心に活躍してきました。
代表作には「帯をギュッとね!」や「とめはねっ!」などがあり、スポーツや青春をテーマにした作品に定評があります。
「モンキーターン」は1996年から2005年まで週刊少年サンデーで連載され、単行本は全30巻。
競艇という専門性の高い題材を扱いながらも、初心者でも読みやすい構成となっており、ボートレース界にも大きな影響を与えました。
よりリアルな内容を描くべく当時のボートレーサー達への取材も数多く行うことで全国各地のレース場から宿舎までを忠実に再現。
平山智加は自身のYouTubeでも「丸亀もめちゃくちゃ一緒」とスタンドや装着場はもちろん食堂まで再現されていることを絶賛しています。
作品タイトルにもなっている「モンキーターン」は、実在する競艇技術の名称です。
艇を大きく傾け、水面ギリギリを攻めるターン技術であり、作中では主人公・波多野憲二の代名詞として描かれています。
ストーリー
主人公・波多野憲二は、高校時代に野球へ打ち込んでいたものの、自分の才能に限界を感じていました。
そんな中、テレビで見たボートレース選手の姿に衝撃を受け、「自分の力だけで勝負できる世界」に魅力を感じて競艇選手を志します。
競艇学校へ入学した波多野は、厳しい訓練や同期との競争を経験しながら成長。
やがてプロデビューを果たし、全国の強豪レーサーたちと激しい戦いを繰り広げていきます。
本作の魅力は、単なる勝敗だけではありません。
選手生命を左右するケガ、減量、メンタル面の苦悩、ファンからの期待、恋愛関係など、リアルな競艇選手の人生が丁寧に描かれています。
また、レース描写の迫力も非常に高く、ターン時の水しぶきや艇のスピード感は漫画とは思えないほど。
競艇を知らない読者でも、自然とレースに引き込まれていく構成になっています。
登場人物
波多野 憲二(はたの けんじ)
本作の主人公であり、「モンキーターン」を象徴する存在です。
高校時代は野球に打ち込んでいましたが、自分の限界を感じたことで新たな道を模索し、ボートレーサーを志します。
負けず嫌いで一直線な性格をしており、時には無茶をしながらも圧倒的な努力で成長していく熱血タイプ。
養成所時代は転覆ばかりしていたことから「転覆王」と呼ばれていましたが、持ち前のセンスと執念で頭角を現していきます。
レーススタイルはあえて大外に出て豪快に捲るアウト屋スタイル。
思い切りの良さと師匠の小池、プロペラ巧者和久井の助けや自らのプロペラ加工により豪快なレースを生み出しデビューから3年でのSG制覇を達成。
しかしその直後にレース中の転覆で左手を切断寸前の大怪我を負い戦線を離脱。
一時は握力、感覚を失い錯乱状態に陥るも懸命なリハビリと治療の末に半年間での復帰を果たし最強のB2級レーサーと称されるようになりました。
作者はこの怪我を悩むか当時悩むも
「ボートレースの世界は全てが華やかではない」
と厳しい面にも触れるべく描くことを決意しました。
モデルになった選手は濱野谷憲吾選手です。
名前やレーススタイル、若くしてトップ戦線へ駆け上がった点など、多くの共通点が存在しています。
さらに、今村豊選手・植木通彦選手・平田忠則選手など、複数のトップレーサーの要素も波多野へ反映されています。
洞口 雄大(どうぐち たけひろ)
波多野最大のライバルであり、82期トップクラスの実力を持つエリートレーサーです。
冷静沈着で感情を表に出さないタイプですが、勝利への執念は非常に強く、作中でもトップクラスの実力者として描かれています。
父親は「愛知の巨人」と呼ばれる名レーサー・洞口武雄。
偉大すぎる父親への複雑な感情やプレッシャーを抱えており、その葛藤もキャラクターの魅力となっています。
洞口スぺシャルと呼ばれる特殊ペラを駆使し一時は覇権を取るも周回ごとに減速をすることを波多野に見破られ惨敗。
その後、洞口スペシャルのような特殊な加工方法によるプロペラ整備が禁止となった後はイン屋に転向するなど試行錯誤が続きました。
努力型の波多野とは対照的な存在であり、二人のライバル関係は作品全体の軸とも言える重要な要素です。
モデルは実在レーサーの仲口博崇選手。
愛知支部所属であることや、若手時代からエリートとして期待されていた点などが共通しています。
青島 優子(あおしま ゆうこ)
本作のメインヒロインであり、女子レーサーとして活躍する人気キャラクターです。
気が強く負けん気も強い一方で、繊細な一面も持っています。
女性レーサーとして男子選手に負けない実力を身につけようと努力しており、恋愛と競技の間で揺れ動く姿も丁寧に描かれています。
波多野との関係は作品を通して大きく変化していき、「モンキーターン」の恋愛要素を語るうえで欠かせない存在です。
作中序盤にて父親が病死。
その父親が残した借金を返済するべく収入の高いボートレースの世界に飛び込んだという設定が盛り込まれています。
モデルについてネット上では日高逸子の名前がよく挙げられますが、作者の河合克敏氏は、青島優子について「服部恭子選手、應治千代美選手をモデルに作成し、褐色肌はオリジナル設定として織り込んだ」とコメントしています。
生方 澄(うぶかた すみ)
波多野の幼なじみであり、精神的支えとなる存在です。
幼少期から波多野を見守ってきた人物で、レーサーとして危険な世界へ飛び込んでいく彼を陰ながら支えています。
家庭的で優しい性格をしており、熱血な波多野とは対照的な存在。
読者からも高い人気を持つキャラクターです。
恋愛面では青島優子との関係性も含め、波多野を巡る重要人物として描かれています。
榎木 祐介(えのき ゆうすけ)
トップレーサーとして活躍する実力者であり、若手選手たちからも一目置かれる存在です。
豪快なレーススタイルと圧倒的なカリスマ性を持っています。
波多野とはSGボートレースダービーで初体面。
波多野が優勝戦に進出したら自身のプロペラを見せる約束をすると、本当に優出し公約を果たしました。
モデルは「艇王」と呼ばれた伝説的レーサー・植木通彦選手や今村豊選手を採用。
圧倒的な実績やスター性など、多くの要素が反映されています。
潮崎 俊也(しおざき としや)
スピード感あるレースを得意とする人気レーサーです。
明るく軽い雰囲気を持ちながらも、レースでは高い集中力を発揮します。
波多野とも関わりが深く、新鋭リーグの格上の存在として最初は描かれました。
モデルはSG常連として活躍した山崎智也選手。
作中の中でも外見を特に意識したキャラクターとなっています。
櫛田 千秋(くしだ ちあき)
女子レーサーとして登場するキャラクターで、青島優子とも関わりが深い人物です。
物語が終盤にかかるSGオーシャンカップで初登場。
優勝戦に出場し一時は先頭争いを繰り広げるも洞口の強引な接触により意識がないままレースを完走。
レース後に病院へ緊急搬送されるも、初のSG優勝戦を記憶がないまま走っていたことに大きなショックを受ける。
モデルは女子ボートレース界の人気選手・寺田千恵選手です。
犬飼 軍志(いぬかい ぐんじ)
「北陸の狼」と呼ばれベテランらしい勝負勘と荒々しいレーススタイルが特徴の選手です。
若手選手たちにとって壁のような存在として描かれています。
「洞口スペシャル」の攻略法にいち早く気付いた波多野の才能を認める一方で、プロペラ頼みのレースをする波多野や洞口について苦言を呈しています。
モデルは実在レーサー・大嶋一也選手とされています。
古池 勘一(こいけ かんいち)
波多野の師匠として登場するベテランレーサーです。
経験に裏打ちされたレース理論を持っており、若手選手へ厳しくも温かい指導を行います。
精神論だけでなく、勝負師として生き残る考え方なども波多野へ伝えていく重要人物です。
かつて弟子を事故で失った経験があり、以降師弟関係を作ることを拒み続けていました。
そして波多野の初優勝時には潮崎に対して行ったダンプ行為を痛烈に批判し破門を言い渡すもその後波多野が謝罪し解決。
蒲生 秀隆(がもう ひでたか)
全国区で活躍するトップレーサーの一人。
冷静な判断力と安定した旋回技術を武器に、SG戦線でも存在感を放っています。
エンジンの微妙な音の違いで状態を判断できる天才的な感覚を持ち合わせています。
かつてSGの優勝戦でフライング失格によりファンを失望させたトラウマから長らく一般戦しか走らず「一般戦の鬼」と呼ばれる。
しかしB2級時に一般戦を転々としていた波多野との対戦で刺激を受けリベンジをするため波多野のA1級復帰に合わせる形で記念戦線への復帰を果たしました。
タイアップされたものなど
「モンキーターン」は人気作品となったことで、さまざまなメディア展開やタイアップが行われました。
テレビアニメ化
2004年にはテレビアニメ化され、「モンキーターン」「モンキーターンV」の2シリーズが放送されました。
レースシーンの迫力や原作再現度の高さが評価され、アニメ版から作品を知ったファンも少なくありません。
パチスロ化
パチスロ作品としても高い人気を獲得。
「モンキーターン」シリーズは山佐から登場し、AT機時代を代表する人気機種の一つとなりました。
特に「SGラッシュ」や「全速モード」などは、多くのパチスロファンに知られる演出となっています。
SGラッシュは千葉ロッテマリーンズ、高校野球のチャンステーマでも使用され幅広く認知されています。
ボートレース場とのコラボ
ボートレース場とのコラボ企画やイベントも開催され、作品内キャラクターを使用したPRなども行われました。
実際のボートレース界にも与えた影響は大きく、「モンキーターンを読んで競艇選手を目指した」という選手も存在しています。
まとめ
「モンキーターン」は、ボートレースという競技の魅力を世間へ広めた歴史的作品です。
レースの迫力だけでなく、選手たちの成長や苦悩、人間ドラマまで丁寧に描かれており、競艇を知らない人でも楽しめる完成度を誇っています。
現在でも競艇漫画を語るうえで欠かせない名作であり、ボートレースファンなら一度は読んでおきたい作品と言えるでしょう。
これからボートレースに興味を持ちたい人にも、「モンキーターン」は最初の入り口としておすすめできる作品です。
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