
高知競馬で長く走り続けてきた一頭の競走馬が、ついに現役生活の終着点を迎えようとしている。
その馬は国内現役最高齢として知られる
17歳となった今もなお現役を続け、若い馬たちと互角以上の気迫でレースに挑み続けてきました。
通算278戦23勝という戦績だけでは語り尽くせない背景を持ち、中央競馬から地方競馬へと舞台を移しながら、十数年にわたり走り続けてその姿は単なる競走成績を超え、「無事是名馬」を体現する存在として語られています。
競走能力を否定された馬

マイネルバルビゾンは2009年にデビューし、中央競馬で競走生活をスタートさせた。
父はアグネスデジタル、母はマイネポリーヌという血統背景を持ちながらも、デビュー当初は結果に結びつかなかった。
同期にはゴールドシップ、ディープブリランテ、ジェンティルドンナなどがいる世代。
また11個下の妹であるフェアエールングは2025年のG3小倉牝馬Sを制覇しています。
芝とダートを含めて5戦したが勝利には届かず、2012年1月には早くも登録抹消。
当時のコメントでは「今後の大きな変わり身は難しい」と判断されており、競走生活の継続自体が危ぶまれた馬でした。
しかし、この早期の転出が結果的に長い競走馬人生、そして地方競馬という舞台が、この馬の持つタフさと精神力を引き出すことになりました。
※その後売却され、ラフィアンのファンドは解散しています
地方競馬で見せた覚醒と連勝劇

地方転入後のマイネルバルビゾンは佐賀競馬で本格的に力を発揮。
移籍直後から勝ち星を重ね、短期間で6勝を挙げるなど存在感を示していきます。
その後、大井、岩手、浦和と各地を転戦しながらキャリアを積み重ね特に岩手競馬では2014年に重賞の岩鷲賞を制覇し、地方重賞ウイナーとしての実績を残した。
さらに南部杯にも出走するなど、地方競馬の中でも上位カテゴリーの舞台に到達。中央未勝利馬でありながら、地方で重賞を制した経歴は特筆すべきものといえるでしょう。
しかし南関東競馬に所属時に脚に重大な怪我を負ったことで競走馬としてこれ以上続けることは無理と診断を受けます。
それでもオーナーであるシグラップ・マネジメントは諦めきれず高知競馬への移籍を決断するのでした。
今ではサラブレットオークションなどで地方競馬に多くの所有馬を抱えていることで知られるシグラップ・マネジメント。
マイネルバルビゾンは馬主開始当初に購入をしたこともあり、特に思い入れが強いことが明かされています。
高知競馬移籍と「バル爺」としての存在感

2017年1月、高知競馬の那俄性哲也厩舎へと転厩したことで、競走馬としての後半生が始まる。
ここから約9年以上にわたり、高知競馬の常連として出走を続けてきた。
年齢を重ねるごとに成績は徐々に下降したものの、レースへの出走頻度は途切れることなく続いた。
高知競馬のタフな番組構成と環境も、この長寿現役生活を支える要因となっています。
また高知競馬場には「一発逆転ファイナルレース」と呼ばれる近走で勝利をしていない馬だけによるレースがあります。
マイネルバルビゾンもこれの常連であり、時折激走をして「ここで来るのかよ!」とファンを驚かせる存在としてファンにも認知されています。
これらのエピソードからインターネット上では親しみを込めて「バル爺」と呼ばれるようになり、SNSでも話題の中心となる存在へと変化。
単なるローカル競馬の一頭が決して負け続けて話題になるのではなく、結果を残し話題になっている点も特徴的でしょう。
衰えない闘争心と17歳の今
一般的に競走馬の引退年齢は10歳前後が目安とされるが、マイネルバルビゾンは17歳になった今も現役である。
その最大の理由として挙げられるのが、衰えない闘争心である。
調教師や関係者によれば、年齢を重ねてもレース前の気配はむしろ元気なほどであり、装鞍所でも前向きな気性を見せることが多いと語っています。
また、高知競馬での継続的なケアも重要な要素となっている。
脚元に不安を抱えていた過去を持ちながらも、日々の管理と調整によって状態を維持し続けてきた。
無理に使い詰めるのではなく、状態に応じて出走を重ねるスタイルが、この長寿現役を支えてきました。
2026年の激走と再び示した存在感
2026年6月の高知競馬では、単勝100倍を超える評価ながら3着に好走した。
メンバー中最速の上がりを記録し、年齢を感じさせない末脚を見せた内容であった。
この一戦は久々の馬券圏内であり、ファンに強烈な印象を残したレースとなった。
「まだ走れるのではないか」という声と、「これが最後の輝きかもしれない」という見方が交錯する結果となった。
また現在主戦を務める阿部基嗣はマイネルバルビゾンと同じ17歳。
競走馬として馬が活躍するのは3年~5年と考えるといくら地方競馬とはいえ同じ年に産まれた人と馬がコンビを組むという通常ではあり得ない出来事です。
引退の時期と今後の行き先
日刊スポーツの取材により2026年9月をもって現役を引退が内定していることがこの度明らかになりました。
関係者によると、引退後の受け入れ先として検討されているのが高知県土佐清水市にあるNPO法人あしずりダディー牧場 命の会です。
同牧場は引退馬や行き場を失った競走馬を受け入れ、余生を過ごすための養老牧場として運営。
広い放牧地と厩舎を備え、馬の年齢や状態に応じたケアを行いながら、終生にわたる飼養を行う施設となっています。
脚に不安を抱えた高齢馬や、競走生活を終えた馬たちが穏やかに過ごせる環境づくりを重視しており、全国から引退馬の受け入れを行っており、見学や支援制度も整えられており、ファンや支援者が馬と関わり続けられる仕組みも特徴のひとつとなっています。
マイネルバルビゾンにとっても、長い競走生活を終えた先に穏やかな時間が用意されている可能性が高く「無事是名馬」という言葉の通り、最後まで大きな故障なく走り続けたこと自体が大きな価値となることでしょう。
マイネルバルビゾンが残したもの
マイネルバルビゾンの競走馬人生は、勝ち星や重賞タイトルだけでは測ることができない。
むしろ、長く走り続けたという事実そのものが最大の記録です。
中央での挫折から地方での再生、そして高知競馬での長期現役生活へと続いた軌跡は、競走馬の可能性を広げる一例でもあり、多くのファンにとっては、結果以上に「今日も無事に走っていること」そのものが楽しみとなってきた存在となりました。
17歳という年齢でなおゲートに立ち続ける姿は、競馬という競技の持つ奥深さを象徴しています。
まとめ
マイネルバルビゾンは間もなく現役を終える。
しかしその競走馬人生は、単なる引退馬の一例ではなく、長寿と継続の象徴として語り継がれる存在。
これから牧場で過ごす時間が、競走馬として走り続けた年月と同じほど穏やかで充実したものであることが期待されますが、最後の一戦、そしてその先の人生まで、多くのファンが静かに見守りたいです。
通算成績
引退後に追記
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